英雄の兄と落ちこぼれの妹
□吠えメール
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次の日の朝、リアンは朝食を食べる為に大広間に向かうと、ドラコが上機嫌に話し掛けてきた
「聞いたかい?
ポッターが退学になったらしい!」
『え?』
《昨日騒がしかったのはこれか…》
ドラコとサラの言葉にリアンは驚愕する
だがすぐにハリーとロンが大広間に入ってくるのが見えた
「何故まだ居るんだ!?」
『え、え、え?』
ドラコの言葉と現実の食い違いに訳が分からなくなって戸惑うリアンを見てサラはクスクスと笑みをこぼした
ヴォルが小声でダンブルドアが何とかしたんだろうと言い、リアンは納得するが一体あの二人は何をしたのか…
リアンは知りたい様な知りたくない様な複雑な心境だった
《でも家には手紙を送られているだろうな
きっと面白い事になるぞ》
心底愉快だとでも言うような声色でサラは言い放ち、リアンはどういう意味だと尋ねようとした瞬間、大広間いっぱいに物凄い怒声が響き渡った
あまりの怒声に大広間の天井から埃が落ちてくる程だ
「……車を盗み出すなんて、退校処分になっても当たり前です!
首を洗って待ってらっしゃい
承知しませんからね!
車がなくなっているのを見て、わたしとお父さんがどんな思いだったか
お前はちょっとでも考えたんですか……」
ウィーズリー夫人らしき声が響き渡る
本物の百倍も拡声されているような怒声にリアンは慌ててヴォルとサラの耳を塞ぐ
片耳ずつ塞いでもう片方を自分の胸に押し付けて塞ぐリアン
ヴォルは一瞬慌てたが、ウィーズリー夫人の怒鳴り声に大人しくならざる得なかった
サラは蛇に耳を塞いでもと思ったが、それを知らないであろうリアンに苦笑いして魔法を掛けてやる
サラの魔法でウィーズリー夫人の怒鳴り声が普通の声量で聞こるようになったリアンは、ウィーズリー夫人の話で事の詳細を知ってハリーに呆れ返ると同時にあれだけお世話になったのに、何をしているんだと恥ずかしくなった
ようやく怒声が止み、リアンはヴォルとサラを放す
驚きながらもざまあみろとでも言いたげなドラコに一声掛けて、リアンは大広間を後にした
大広間を出る間際ハリーが助けを求める様な視線でリアンを見たが、リアンはあえて突き放すように視線を逸らす
大広間を出た瞬間、リアンは膨大に溜め息を吐いた
『今年も穏やかじゃなさそうだね』
「巻き込まれなければ良いがな」
《無理があるだろう》
サラの言葉にリアンは苦笑いし、ヴォルは顔を歪める
新たな一年が始まる
だがその初日ですらも穏やかに始まらなかった
先が思いやられるリアンはただひたすらに平穏を望む
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*あとがき