英雄の兄と落ちこぼれの妹

□ジニーと
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「…………」

『…………』


特急が発車してからおよそ十分

あれから黙り込んだジニーに普段から喋る方ではないリアンも無言になる

不意に、ジニーが荷物の中から今朝忘れて取りに戻った日記を取りだした

途端に膝に居たヴォルが爪を立てる

少し痛くてヴォルを動かすとヴォルは爪を収めたが、険しい顔でジニーの持つ日記を見つめていた

この反応は前にもあった

グリンゴッツでハグリットが賢者の石を取り出した時だ

嫌な予感がしたリアンは少し眉を顰めて日記を見た


「あのね…
リアンに相談したい事があるの…」

『どうしたの?』


ジニーはリアンに日記を渡した

受け取ったリアンは日記を見た

何の変哲もない日記だった

表紙が黒いので女の子らしい趣味を持つジニーにしては珍しくも思うも、使い古されている形跡がある


『この日記がどうしたの?』

「その日記を開けてみて」


ジニーに言われるがまま日記を開くリアン

だが使い古された形跡があるにもかかわらず、中は真っ白だった


『何も書いてないけど…』


ふとおかしいと気付くリアン

“隠れ穴”で生活していた時、リアンはジニーの部屋で寝泊まりしたのだ

ジニーは寝る前に一生懸命日記を書いていた

リアンの記憶違いでなければ“この日記”に書いていたはずだ

驚いた表情でジニーを見つめるリアン

心なしか顔色が悪いジニーは表情が暗い


『ジニー…毎晩日記書いてなかった?』

「書いてたわ」

『でもこの日記何も書かれてないの…』

「ええ…」

『書きこんだ事が消える日記ってあるの?』

「私が知ってる限りないわ」

『これをどこで…』


ジニーは静かに話し始めた

事の始まりはダイアゴン横町から帰って来て荷物の整理をしていた時だった

見覚えのない日記だった

お母さんやお父さんが内緒で買ってくれたのかと思い、日記を書いたらしい

だが日記に書きこんだ事がすぐに消えたのだった

そして文字が浮かび上がった

日記との奇妙なやり取りに最初は怖くてしばらく放置していたらしいが、段々とまた書き込むようになったという

だけどまたおかしいのではと思い始めたジニーはリアンに打ち明けたのだ


『…とりあえずホグワーツの先生に相談した方が良いよ
何の魔法か分からないし、もしかしたら闇の魔術や呪いかもしれないし』

「そうするわ
ありがとうリアン」


ジニーは安心したように微笑み、リアンも最近元気がなかったジニーが笑ってくれたことに安心して微笑んだ








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