英雄の兄と落ちこぼれの妹

□書店で
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フローリシュ・アンド・ブロッツ書店にて、教科書を購入しようとするリアンは人混みに顔を歪めた


『入りたくない…』


ヴォルもサラも顔を歪めた


《でも入らないと教科書が買えんぞ》


それでもと立ち往生するリアンに後ろから声が掛けられる


「リアン?」


振り返るとハリーが目を見開いて立っているのを見て、リアンは自分の顔が歪んでいくのが分かった


「リアン!
僕、心配してたんだよ!
無事で良かった…」


そう言って抱き付いてくるハリーにリアンは体を強張らせた


「それにしてもすごい偶然
リアンは今までどうしてたの?
おじさんとおばさんに何もされなかった?」

『…教材買いに来たんじゃないの?』


リアンの言葉を聞いてハリーと一緒に来ていたウィーズリー一家の人達が慌てて書店に入って行く


『ぼく達も行こう』


不満気なハリーの手を引っ張って書店に入るリアン

中に入ると更に人が溢れ返っていた

リアンは気分が悪くなり、ハリーが気付かない内に人が少ない二階へ上がる


「リアンじゃないか」


二階へ上がるとドラコが嬉しそうな表情で声を掛けて来る

その後ろにはドラコと同じプラチナブロンドの杖を持った気品溢れる男性が居た


「父上、前に話していた…」

「分かっている
ポッター嬢、初にお目に掛かります
私はルシウス・マルフォイ
息子がお世話になっているようで…」

『御存じのようですが改めまして、リアン・ポッターです
私の方こそいつもドラコに迷惑を掛けているので…
ドラコには助けられてばかりで申し訳ないです』



伏せ目がちに言うリアンにルシウスは微笑んだ


「兄の方とは違い、ポッター嬢は礼儀を弁えて居るようで…
ドラコから良く聞きます
お兄様に大変困って居るのだとか」

『…そうですね
ドラコが言っていたのなら隠す必要もないようで…
といっても兄は周りを見ないようで、ホグワーツでは有名になってしまいましたが…』

「忌々しいポッターめ…
休みの間は何もなかったか?」


曖昧に微笑むリアンに眉を顰めるドラコとルシウス

だが今にも泣き出しそうな表情で微笑むリアンに何も言えなかった


「き、今日は一人で来たのか?」


ドラコが慌てたように話を変えて聞いてきた事にリアンは首を傾げながらも一階に居るハリーを指した

ドラコやルシウスが見ると、ハリーはハーマイオニーと再会していて、それを見たドラコは顔を歪めた


「また穢れた血と一緒か…」


ルシウスはリアンに隠さずマグルであるハーマイオニーに毒づくドラコを見て、そっとリアンの様子を伺った

だがリアンは眉一つ動かさずに、むしろ冷たい目で自分の兄であるハリーを睨みつけていた


「(訳ありか?それともあの噂は本当だったのか…)」


ジッと見つめるルシウスは、ふと視線に気付いて此方を見るリアンに微笑んだ

リアンは首を少し傾げながらもハリーが知らないおじさんと一緒に写真を撮られているのを見てちょっかいを出しに行くドラコに視線を移す


「すまないね
ドラコはまだ若い故に見苦しい所もある」

『そうでしょうか?
人はそうやって学んで行くんですよ』


さらっと返すにリアンに目を見張るルシウス

そんなルシウスににっこり微笑み、下に降りようと提案するリアン

ルシウスは頷いてリアンを優しくエスコートながら一階に降りる








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