英雄の兄と落ちこぼれの妹
□漏れ鍋にて
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朝早く、開店しようとするトムにリアンは発見された
トムは慌ててリアンを店に入れて、空いてる宿部屋に寝かせてダンブルドア宛に梟を飛ばした
《上手くいったな》
「あぁ」
ヴォルとサラはベッドで眠っているリアンに寄り添いながら言った
上手くいった
これで一先ず安心出来る
上手くことが運べば、この子はあの家に帰らずに済む
そうじゃなくても体調を治すことが出来る
熱で息が荒く、火照っているリアンの頬にサラは擦り寄った
《熱いな…
40度はあるぞ》
「店主は何をしているんだ…」
辛そうに息を荒げるリアンにヴォルは内心焦る
サラもこれ以上リアンから魔力を盗っては弱って肺炎になりかねないと思い、人間になって薬を作ることは断念していた
しばらくすると水の入った大きな入れ物と、タオルを持ったトムが部屋にやって来た
タオルを搾ってリアンの額に置くトム
「ダンブルドアに手紙を送りました
もう少しの辛抱ですぞ」
トムはそう言って心配そうにリアンを見るが、店があるので部屋を出ていく
*