英雄の兄と落ちこぼれの妹

□最悪の誕生日
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物置に入ったリアンの表情を見て怪訝そうな顔をするヴォルとサラ

バーノンとダドリーを見てげっそりしているだけなのだが、それを知らない二人はリアンを心配する


《どうかしたのか?》


リアンが物置に入ってすぐに来たメイソン夫妻

メイソン夫妻とバーノン、ダドリーが応接間に入ったのを確認してからリアンは答えた


『いつもは思わないんだけど、ホグワーツに行ってから色んな人を見る機会が増えたからさ
その…、ダドリーとかバーノンおじさんに比べて…
何て言うか…、皆かっこいいなって…』


恐る恐ると言うリアンに二人は呆れた顔をした


「あんな薄汚い豚共と一緒にするな」

《私と彼奴らを比べる事態が間違っている
不愉快だ》


もはや怒る気すら起こらない二人は溜め息を吐きながら言った

リアンは苦笑いしながら謝る


『ごめんね
でもしみじみと実感しちゃったからさ』


今までは慣れていたからと言うリアン

とりあえず機嫌を損ねてしまった二人になけなしの晩御飯を渡した


「今日はまた随分と酷いな…」


いつもまともな食事は出されはしないが、パン一個とチーズ一欠片というのはなかなかない

食べれるだけマシだよと言うリアンに顔を歪める二人

サラはヴォルに目線で訴える

このままではいけないと…


「… リアン」

『なに?』


思い詰めたような顔をするヴォル

リアンは不思議に思いながら首を傾げてもう一度なに?と聞いた


「ここを出たいと思うか?
もし出れたらと…
勿論あの愚兄も居ない所へ」

『…………』

「こんな物置で過ごすことなんかない
食べ物も好きなだけ食べれるし勉強だってちゃんと出来る
あの愚兄に煩わされることもない
そんなことが叶うとしたら?」

『…ダメだよ
ダンブルドアも、ハリーもそれを許さない
だってぼくはハリーを守る盾で、都合のいい捨て駒なんだから』


リアンは諦めていた

ダンブルドアに良いように使われることも

ハリーの言うことを聞いてしまう事も

理不尽な扱いも

全て仕方ない、どうしようもないと諦めていた

諦めなければ耐えられなかったのだ

全てを諦め、泣きそうな顔で無理に笑うリアンを見て、ヴォルもサラももうなにも言えなかった







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