英雄の兄と落ちこぼれの妹

□最悪の誕生日
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物置に戻ったリアンをサラが出迎えた


《随分と騒がしかったようだが、何かあったのか?》


苦笑いしか返さないリアンを見て痺れを切らしたのかヴォルが代わりに答えた


「コイツの愚兄がバカな事をしただけだ」

『後は今日バーノンおじさんの大事なお客様が来るから物置から出ちゃダメなんだって
いないふりをするの』


嫌悪感丸出しの顔をするヴォルとサラにリアンは苦笑いしか出来なかった


《いつまでこの状態を続けるつもりなのだ?》

『そう言ったってぼくには行く所がないよ
ハリーが此処にいる以上、ダンブルドアはぼくが出て行くを許さない…』


無理矢理ハリーの盾としてリアンを使い続ける以上、リアンに自由はない

ダンブルドアの非情さを知っているヴォルは複雑そうにリアンを見つめた


「リアン!」


ペチュニアが呼ぶ声が聞こえ、リアンは行ってくると二人?に告げて物置から出た

物置に残る二人は重い空気だった


《貴様は別荘の一つも持っていないのか》


ポツリとサラがヴォルに言い放った

ヴォルは訝しげにサラを見るが、その真意は掴めない


「持っているがそれがなんだ?」

《あの子はこれ以上此処には置けない
あの兄やマグル、ダンブルドアの元に置いていたらあの子はいずれ壊れるだろうな》


それはヴォルが常々心配していたことだ

手がないわけではない

見つかる心配もしていない

ただそれをリアンがよしとするか…

その頃、リアンは一切れのパンに一欠片のチーズを出されて、ハリーと共に食べていた所だった


「早くお食べ!
メイソンさん達がまもなくご到着だよ!」


飲み物も何も無しでパサパサなパンを食べさせられるリアン

ヴォルやサラにもと考えて居るため、殆ど食べずに物置に戻った

物置に戻る時に見えた玄関に立つバーノンとダドリー

ホグワーツではドラコやスネイプ、セドリック等、容姿端麗な者ばかりが周りに居たので豊満過ぎる身体を持つ二人は比べるまでもなく月とすっぽんだった

賢者の石の件の時に見た人間のヴォルもヴォルに隠れて変身するサラもこの世の者とは思えないほど絶世の美男子だった

そんな二人が常に一緒なリアンにとって、バーノンもダドリーも大変見苦しい事この上ない

朝食の時のエスコートを、あんなムチムチのダドリーは絶対されたくないとメイソン夫人を哀れに思いながら、リアンは物置に戻った








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