甘い本C
□恋と軌跡
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「ねぇ…プレセア、君と僕の生きる時間は違いすぎるんだよ?」
静かにプレセアは自分の左手を見ながら握る…
何かを決意したように…
プレセアは静かに口を開いた。
『それが、どうかしましたか?』
「え?」
少しずつ握っていた拳を開いて行く…
プレセアの想いとともに…
『確かに私とジーニアスの生きる早さは違うかもしれません。 しかし…私は……私が生きている限りジーニアス―貴方の側に居たいです―
』
君は…
僕の側にいると答えた。
「僕は不安だったんだ…
この愛が永遠じゃないって知っていたから…」
『ジーニアスの…バカ。』
ふわりと抱きしめるプレセア
『少し違いますよジーニアス。確かにこの愛は永遠じゃないです。
だけど…私達が愛を止めてしまったら…本当に永遠になってしまいます。
だから…今は…今を大切にして、全力で愛するんです。そしていつか、離れてしまったら…この愛は想いとなり軌跡になるんですよ』
「……………。」
もう……
言葉なんかいらなかった。
正式に言えば…
言葉が出なかった。
苦しい気持ちが…
今…愛しい気持ちで…
いっぱいだったんだ…
だから……
言葉が…
出なかった……
―だからジーニアス…もう…泣かないで…―
――私達の愛は…いつか想いになって軌跡に…残るから…―――
END