BRY 〜便利屋〜
□依頼到来
〜私と彼を一緒のクラスに〜
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BRY部活室と書かれた教室の中。
闇に蠢く二つの影の内の一つが動いた。
「智乃さん…そろそろですよ。」
それは体育館で蹴り飛ばされた白髪赤目という特徴をもったアルピノ男子生徒。
「よし、抜かるなよ。モミジ」
智乃と呼ばれた男子生徒は静かに透き通るような声でモミジに命令をだす。
一方モミジも一つうなづくと外の様子を窺うように扉に耳を当てる。
コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…
ゆっくり地を踏みしめるような足音が聞こえてきた。
それを聞き取るとモミジは小さな声で智乃に伝える。
「智乃さん、来ました。」
「よし、鍵をかけろ! 扉のバリケードの強化を!」
再度うなづきモミジは言われるがまま扉の鍵をしめ、近くにあった高くて重い本棚を扉の前に置き扉から離れる。
ほどなくして扉越しでも聞こえるほど近くなった足音が鼓膜を揺らした。
コツ…コツ…コツ…コツ…
コンコン
「智乃帰ったよ、扉を開けて」
優しげな女の声。
それが余計に智乃とモミジの恐怖心を駆り立てる。
「だめだ。今のお前は人会ってはならない異形の者へとかしている」
「何わけのわからないこと言ってるの? ほら…はやく開けてよ」
「だめだ」
「………智乃…」
「頼む、帰ってくれ…っ」
「…」
「扉は開けれない…」
「…」
「…お前に俺の声が届いているのなら…どうか帰ってくれッ」
「…そう、わかった…」
小さく漏らされた声。
帰ったか?
智乃 モミジがそう思いお互い顔を見合わせた瞬間――
ドンッッッ!
「開けろ…開けヤがれ!!
バカ智乃がぁああああぁぁああ!!」
何度も連続して強く叩かれる扉、そしてそれ以上に扉の向こうの女は地の底から呻くような大声で呪いのような言葉を吐き捨てる。
そしてそれはドンドンエスカレートしていく…。