タイムリミット
□マームは、絶望の中から救い出されました。
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4月22日。
朝7時過ぎ。
立ち入り禁止と書かれたテープが張られている中には、鉄鋼を持ち上げているクレーンが作動し、その周りを数人の男たちが声を張り上げながら仕事をしていた。
そんな中に、彼 マームはいた。
「…どうして……」
マームは壊れた筈のクレーンを見上げ、ぽつりとつぶやく。
このクレーンは昨日壊れたのに…。
なんで普通に動いてるの?
マームはクレーンに向けていた視線を監督へ向ける。
まるでお化けでも見るような目をして。
監督も…昨日死んだのに…。
訳のわからない現象にマームは眩暈をおこし、頭に手をついて大きくよろめいた。
時、耳に監督の声が響いた。
「オイ新入り、昨日から徹夜だろ? 疲れてんならさっさと寝て来い」
違う…。
昨日…じゃない…今までずっと監督は
そろそろ休みいれねーと倒れんぞ
って、言ってたのに…
「…マーム? どうした? どっか具合でも悪いのか?」
返事をしないマームを心配した監督が、少し速足でマームの元へと来、屈んで顔を覗き込む。
「あ…、だい…じょうぶです。…少し、疲れてるみたいで…
お言葉に甘えて休ませてもらいますね」
「…そうか? あんま無茶すんなよ?」
監督の顔が視界に入った瞬間、ハッと我に消えったマームは苦笑いを浮かべ、大丈夫と口にし、休憩場へと向かって行った。