タイムリミット

□マームは、絶望の中から救い出されました。
2ページ/6ページ


4月22日。
朝7時過ぎ。


立ち入り禁止と書かれたテープが張られている中には、鉄鋼を持ち上げているクレーンが作動し、その周りを数人の男たちが声を張り上げながら仕事をしていた。

そんな中に、彼 マームはいた。


「…どうして……」


マームは壊れた筈のクレーンを見上げ、ぽつりとつぶやく。

このクレーンは昨日壊れたのに…。
なんで普通に動いてるの?


マームはクレーンに向けていた視線を監督へ向ける。
まるでお化けでも見るような目をして。


監督も…昨日死んだのに…。


訳のわからない現象にマームは眩暈をおこし、頭に手をついて大きくよろめいた。

時、耳に監督の声が響いた。

「オイ新入り、昨日から徹夜だろ? 疲れてんならさっさと寝て来い」


違う…。
昨日…じゃない…今までずっと監督は
そろそろ休みいれねーと倒れんぞ
って、言ってたのに…


「…マーム? どうした? どっか具合でも悪いのか?」


返事をしないマームを心配した監督が、少し速足でマームの元へと来、屈んで顔を覗き込む。


「あ…、だい…じょうぶです。…少し、疲れてるみたいで…
お言葉に甘えて休ませてもらいますね」

「…そうか? あんま無茶すんなよ?」


監督の顔が視界に入った瞬間、ハッと我に消えったマームは苦笑いを浮かべ、大丈夫と口にし、休憩場へと向かって行った。

 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ