タイムリミット
□知らない幸せ、知れない不幸
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××日目の4月22日。
朝10時40分。
自国と隣国の間で長年続いていた戦いが終焉した。
「…終わった…」
呟いたのは青い髪を乱し、黒くくすんだ軍服を身にまとった女 咲夜。
「おわった…、やっと…」
先ほど自国の伝令が届き、終了と死亡した兵士たちの名前
そして勝敗の行方を聞いた。
「…勝った…。私たちは…勝ったのですね…」
咲夜は放心したように同じ言葉を繰り返し、青い空を見上げた。
勝った…
生きている…
生き残れた…
帰れる。
家に…街に帰れる。
口元に笑みが浮かび上がった。
「終わった…。終わった…!」
涙を流し、
生きている感動に
戦いが終わった安堵に
人を殺してしまった後悔に
身をゆだねるように目を瞑った。
刹那、一つの銃声がその場にこだまし…
咲夜は血の海へと体をうずめた。