現実逃避×閉鎖区域
□奇想天外×現実
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憎いかい? 俺の事が…なら追っておいでよ俺を…。
そして殺して御覧…、待ってるからね。
右目が疼くたび、その言葉が脳裏をよぎる。
それと同時に浮かんで来るのは銀髪と赤眼の男…。
「アナタは…一体どこにいるんです?」
世界を回った。
表も裏も分け隔てなく、隅から隅まで見渡した。
善人だろうと悪人だろうと全ての人に会った。
それでもいない。
見落としがあればそれで終いだが…。
銀髪 赤眼
そんな目立つ特徴を持った男なんて多くは居ない。
「アナタ……」
名前さえ分っていれば……。
いや、名前が分っていたとしても…
この世界にはいないから仕方がないか…。
女、名を咲夜(サクヤ)は一歩足を踏み出した。
その瞬間を待っていた、とばかりに強風が吹き、まるで背中を見えない手が押したかの様に、その体が宙へと投げ出された。
見上げれば満面の星空
見下げればむき出しのコンクリート
落下する体のすぐ横にはビルの窓。
咲夜は高層ビルから飛び降りた。