砂時計
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「…ついた」
息を見出しザクロは眼前に建つ我が家、この国をおさめる城の城門を見上げた。
門を開けるのは門番が必要。
それはできない。
出来るだけ目立たず、誰にも気づかれずに入らなければ…。
「蔓よ、勇ましく逞しきその力で
僕をあちら側へ連れて行って。フーゲル」
スルッと門の近くにあった木に巻き付いていた蔓が
蛇のように蠢きザクロの体に巻き付きゆっくりと静かにその体を持ち上げた。
そのまま蔓はザクロを門の向こうの地へと運び、足を地につけると
体に巻き付いていた蔓は静かに元あった通り、木に巻き付き動きを止めた。
「ありがとう」
門の向こう側に佇む木を見つめ小さく呟き、ザクロは足音を立てないように城の隠し通路から城内へと入った。
時間は深夜2時。
城の中は静寂に包まれて足音はおろか、息遣いまでも聞こえてきそうなほどだった。
『エント…聞こえる?』
ザクロは心の中でエントに語りかける。
城の中はコンクリートだらけで、自然のものが見当たらないから不安になったのだ。
《あぁ、聞こえる。どうしたんじゃ?》
『良かった。ううん。ごめんなんでもないよ。
…いや、地下牢につながる階段…どこにあるか知ってる?』
《地下の階段とな? そうじゃな……。まっとれ探ってみる》
エントがそういった瞬間、強い突風がザクロの体を通り抜けて行った。
そして数秒後。