タイムリミット

□水晶の中、水晶の外
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レライエは咲夜を連れ、昨日占い師と会った路地裏に居た。


相変わらず人は少なく、不気味な雰囲気を醸し出す路地裏、
そこの奥の奥に、魔女の様に羽織った黒い布で顔を隠した占い師が居た。


「ああ、待っていたよ。来たんだねぇ」


占い師は唯一見える口元を吊り上げ、レライエと咲夜の元へと寄って行った。

そんな占い師を警戒し、レライエと咲夜が懐に入っている銃に手をかけた時、占い師は両手を上げて、何もしない、と意を示した。

レライエと咲夜は少し考えた後、手を懐から抜き、占い師を見つめた。

それでもその目と雰囲気は
少しでもおかしな行動をすれば、撃つ、と語っていた。

占い師もそれを承知して、手を上げたまま微動だにせず口を開いた。


「知ってるよ。今起こっている、奇妙な現象の正体も、理由も」


「…お前は、何者だ。何故…」


「占い師だから…ってのは、理由にはならないだろうね。
………私にも何が何だかさっぱりさ。ただ、見えてしまった。それだけの事」


レライエの言葉に言葉を被せ、占い師はため息を付き、レライエと咲夜から視線をそらした。

己自身も何が起こっているか、理解しかねているようだった。


「…分っているんだ。ただ、分っているだけ。…知っているだけ。…理解はできていないのさ。
だってそうだろ? 今までずっと同じ日を永遠に過ごしてきたのに、なのに誰もそれを不思議がらない。
ずっとずっと初めて来たと思っていた“今日”を過ごしていたんだ。
なのに行き成り“私の今日が今日じゃなくなった”知ってしまったのに明日が来ない…。
気が狂いそうだ」


レライエと咲夜は敵意を薄めた。

目の前の占い師も、自分たちと同じ、動揺しているのだと、気が付いたからだ。


「…話してくれ。お前が知っている事を」


レライエの優しい声を聴き、敵意が無いと感じた占い師は1つ頷き、話し出した。


「6日ぐらい、前のことだ…」

 
 
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