砂時計
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ザクロは男を睨み付け、首を掴む腕に爪を立てる。
「は…なしなよ…ッ! こん、な事して…僕の父…は……何、とも思わないよ」
「別にそれでも良いんだよ。俺の気が収まりゃな」
「…の…、離しなってッッッ!!」
ザクロは怒りにまからせ、男の腕を軸にし下卑た笑い声をあげる男の顎へと蹴りを繰り出した。
「ガッ!」
つま先は吸い込まれるように顎へ入り、男は強く背中を打ち付けた。
ザクロは男の手から逃れると素早く地を蹴り、後ろへと下がり近くに立てかけられていた薙刀に手を伸ばし、昔 父に教わった様に切っ先を男に向け構える。
牢から聞こえるのは罵声や怒声ではなく、試合を観戦し興奮しているような、歓喜の声が漏れ始めた。
「てめぇ…」
赤くなった顎を抑えながら男は起き上がり、眼前に居るザクロへ殺気の籠った視線を向ける。
「…君が約束を守ってくれないのが悪いんだよ。
僕はただ106番の居場所が知りたいだけなんだ…!」
「知るかよんなこたァ!」
《ザクロ来るよ!》
一気に距離を詰め、そのままの勢いで拳を頭上へと振り下される。
その一撃を体を右にずらして避け、男の首へと横一文字に薙刀を振るう。
しかしそれも刃の付いていない場所を持たれ、あっさりと防がれた。
男は薙刀を離さず、ザクロの腹へと蹴りを放った。
「う…つ…ッ」
蹴りは見事に腹へと入り、ザクロはその場に膝を着き腹を抑えるようにうずくまる。