砂時計

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《見つけたぞ。ここを真っ直ぐ行った所に扉がある。
そこから下へと降りられる》


『わかった。ありがとう』


《しかし》


『どうしたの?』


《その扉の前に番をしている者が2名。どうするのじゃ?》


『ここにてるのは僕と、その番をしている2人だけ?』


《あぁ》


『…そう。……ねぇ、僕やってみたいことがあるんだ』


《…儂らにできる事か?》


『うん。エントにしかできないこと…。ためさせてね』


ザクロは靴を鳴らし通路を走り出した。
全力で扉へ番をしている2人の元へと駆ける。


「何者だ! 止まれ!」


眼前にゆらりと2つ黒い影が現れる。
此方が見えていないのか、鋭い槍を構えて声を荒げているが、そんな事気にしてられない。


「風よ。澄んだその身を鋭利と化して」


「何をぶつぶつと…止まれ!」

「おいまて、あの方は…」


「フーゲル!!」


2人の番がザクロの顔を見つめ、ハッと息をのんだ瞬間2人の体は通路を駆け抜ける突風に切り裂かれ、地面に嫌な音を立てて崩れ落ちた。


「っ…」


《ザクロ?》


「…やっぱり…、風で人は切れるんだね…。
けど、ここまでするつもりは…」


《…まだ力を使いこなせてはいないんじゃ。仕方がない…》


「……これって、アイツらにも使えるの?」


アイツら、というのは言わなくてもわかる。
水無月、レスたちの事だ。


《出来る》


「……そう。良かった……。
―…行こう、早く助けに行きたい…」


ザクロは肉片から目をそらしながら、血だまりの中に沈む扉の鍵を拾い鍵穴へと差し込み、ゆっくりと鍵を開けた。


扉は軋み耳障りな音を立てて開かれる。
ザクロはその場から逃げるように地下へつながる階段を駆け下りた。
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