俺の周りの奇妙な人間
□俺とヤーさんと学園の守り神
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というわけだ…
なんてバカらしい…。
「キョウ学校行かなくて言い訳?」
時計の針は8時10分を刺している。
ヤバい遅刻だ!
「おま! 早く言えよな! 行ってくる!」
「いってらセンセーに宜しく〜」
熱を引いている健吾を部屋に残しキョウは教室に向かった。
全力疾走で廊下を曲がり、教室のドアを開ける。
「お、遅れまし―シュッ
…シュ?
振り返るとそこには一本のコンパスが突き刺さっていた。
って、え? コンパス?
なに今日って1校時…体育だったっけ?
違うよね? 数学だよね…?
ならなんでさ…
先生(1人)と生徒(3人)が武器(らしき物)を持って怖い顔で睨み合ってんの…?
あまりの出来事に硬直していると腕を引っ張られた。
「オイキョウ。そこに居たら危ないぞ」
モカはキョウを教室の端に連れて行った。
端にはクラスの面々が巻き込まれないように避難している。
「あの…これは?」
「このクラス名物、
数学教師VSヤーさんもどきだ」
数学教師…ああ、だから…妙に尖った大きな教師用三角定規と、大きな教師用コンパスを持っているのか…。え?ヤーさん?
「席に座れ、授業が進まんだろうが」
「誰が数学なんかすっかよ! 早く授業おわらせろや!」
「そーだよ! カッサン風邪気味なんだからさァ!」
「てかみっちゃんもだけどな! つーか俺もだ!」
上から、T字ほうきを構えたカッさん(♂)
シャベルを肩に担いだみっちゃん(♀)
トンボを床に付け持っているヨーちゃん(♂)
「俺ら風邪引いてんだよ!
寝かせろ! 休ませろ! プリン食って帰らせろ〜!」
…いやいやいやカっさん…本気で疲れてんならプリン食わずに帰れよ
「本気で疲れてんならプリン食わずに帰れ!」
あ、俺…数学教師と心が通じ合った?
「ンだよそれ! たくもうやってられっか!」
カっさんは2人を連れて教室から出て行った。
静まり返った教室に濁ったチャイムの音が響く。
「チ、今日は終了だ。
次の時間に小テストをする、予習しとけ!」
数学教師が出て行ったのを見計らい、7万でプリンを売ったタケシが話しかけて来た。
「転校2日目から遅刻かよ
どした? なんか合ったか? つか健吾は?」
「そうそう健吾さ、風邪引いたんだよ、ンで今日休むらしいわ」
「あの頑丈野郎がねェ。…てか、何で知ってんの? 」
「相部屋だからに決まってんじゃん。え、知らなかった?」
そういった瞬間、クラスの男女が一斉にキョウへ視線を向けた。
…なに? 変なこといった?
「健吾といてなんともね?」
「べつに…ねーな…。
え? なに?」
「そっか。お前そっち側の人間か…」
そっち側ってどっち側だよ…
些細な疑問を残し俺は教室を後にした。