現実逃避×閉鎖区域
□儀式の村×贄子
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目を、覚ました。
長い、夢を見ていた気がする。
…そういえば、あの人の名前はなんだったか……
…あんなに愛していたのに…、
忘れる程…あたしは生きてたの?
…死んでるの…?
…あの人の名前は……
なんだった…?
…思い出せない…
………思い…、だせない…
「どうしたの、悩みごと? 何を忘れてしまったの?」
顔を覗き込む黒い髪と目の子。
黒巫女、と呼ばれた子。
「何でもないわ。…少し、昔の…生きていた頃の夢を見ただけ。
…所で、白巫女は?」
「白? 眠ってるよ、ここ最近反逆者がいっぱいで疲れてたみたい」
黒は水辺に生えている木に凭れ掛かり眠っている白い女性へ視線をむけ、幸せそうに笑った。
…この子たちは、こんな表情をしてる方が…似合ってるわね。
「あなたは眠らなくても?」
「けど、寝てる時にもしもの事があったら…」
「見張りは1人で十分。あたしがするから、黒巫女はお眠りよ」
祭歌の言葉に黒巫女は少し迷ったように首を傾げたりしたが、すぐにコクリと頷いて白巫女の方へと駆けて行った。
「良い夢を…」
白巫女の隣で丸くなって眠り黒巫女へ微笑みかけ、祭歌は何をするでもなく空を見上げた。
…反逆者が多い、か…。
……確かに、ここ最近は多い。
…人が生きる世界は色々と便利になって行っている証拠か…
離れがたいのだろうな…。
…あの人は…、どうなのだろう…。
ちゃんとあたしの事を覚えているのか…?
会いたい…
「もう一度、会いたい…」