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□イメージはまさに君と君
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そうして辿り着いた『甘栗甘』という一軒の店。

里ではかなり有名な所らしいけど、僕は聞いたことすら無い。




「今日は何を食べようかしら〜」




店員からメニューを手渡されるなり、テンテンは食い入るようにそれを見ている。

つられて僕もメニューに視線を落とす。




「え…」


「どうしたの?」




どうやら声に出てしまっていたらしい。


それもそうだよ、団子が苦手な僕にとってはこのメニューは結構ショック。


これ以上メニュー見ていると気分が悪くなりそうで、机の上にそれを置いた。




「サイは何にするの?」


「僕はお茶だけでいいよ」


「えー、勿体ない!私はおしることみたらし団子にしよっと」




僕はテンテンに食べ物の好き嫌いを教えてないから、嫌がらせではないとは思うんだけど。

よりによって、僕が一番嫌いなみたらし団子を頼むなんて。


でも仕方ない。
友達になる為の試練だと思って、ここは我慢しよう。




「男の人はみんな甘いもの嫌いなのかなー?」


「何でそう思うの?」


「ネジもあんまり甘いものは食べないのよね」




ああ、そう言えば。

テンテンはあの白眼使いの日向ネジと付き合ってるんだっけ。


サクラから聞いた話によれば、ネジはかなり嫉妬深いんだとか。

そんな人にこの現場を見られたらややこしいことになりそうだね、なんて。


この状況を楽しんでる僕って、結構チャレンジャーなんじゃないかな?




「それはただスカシてるだけなんじゃないかなあ」


「どういうこと?」


「男が甘いもの好きだったら格好悪いとか思ってるんだよ、きっと」




もちろん、ネジはそんなこと思ってなさそうだけどね。


僕がわざと、こういうこと言ってるなんてテンテンは気付かないんだろうけど。




「それじゃあサイもスカシの一員ってことになっちゃうわよ」


「僕は本当に甘いものが苦手なだけだから」




運ばれてきた大量の団子を美味しそうに頬張りながら笑うテンテンを見て、少し冷や汗をかいた。

これはタイミングを見てどうにか逃げないと、まず奢れと言われるだろうな。


ちょうど正面にある建物の影から微かに感じる気配の主に助けてもらおう。

もっとも、食べることに夢中のテンテンはその気配には気付いてないみたいだけど。








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