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□affection
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カチャン、と。
大きな窓が特徴的なカフェに、小さな音が響いた。
会話の最中にテンテンはティースプーンを置いて、どこかぼうっとしている様子。
そんな彼女の視線は目の前に座っているネジへは向いていない。
「テンテン?」
「あ、ごめんごめん。何の話だったっけ」
慌てて視線をネジに戻して、再びティースプーンを手に取る。
そんな彼女の様子に、ネジは頭の中で疑問符を浮かべた。
「何か考え事か」
「ううん。ほら、あの子見てたのよ」
テンテンは両親の間で歩いている子供を指差した。
少し足元がおぼつかないところを見ると、まだ二、三歳くらいの小さな女の子。
両親に手を繋がれてにこにこと歩く少女と同じように、テンテンもにこにこと笑っていた。
「可愛いなーと思って」
「子供好きだな」
「ネジは小さい子が嫌いなの?」
茶色い瞳がじっと見てくる。
くるくると表情を変えるテンテンもあの子供と同じようなものだなんて、もちろん彼女に言えるわけもなく。
でも、そんな子供みたいな彼女を好きだからこそ、子供は嫌いではない。
「別に嫌いではない」
「意外ね、どうでもいいとか言うと思ったのに」
茶色い瞳は細められて、また表情は変わる。
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