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□通ずるモノ
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長期任務を終え、すっかり静まり返った夜の木ノ葉の街をすたすたと歩く長髪の男。

なぜか、彼のいつものリュックはどこか膨らんでいるように見える。



今回の任務は護衛。早くに両親を亡くした、わずか8歳の大名の少女の護衛だった。

その少女の家は大金持ちでまだ幼いという理由もあり、盗賊に狙われる可能性が高いということでBランクとして彼ともう3人の中忍での任務となった。


案の定、盗賊は大したことなく任務はスムーズに終わった。

帰り際に、幼い大名はお礼と言ってパンダのぬいぐるみを1人に1つずつくれた。

もっとも、ぬいぐるみなどに縁も興味もない上忍の長髪の彼は一瞬眉をぴくりと動かしたが、子供からのプレゼントを受け取らないほど彼も非情ではない。


ぬいぐるみの好きそうなお団子頭、もとい彼女であるテンテンにあげればいいとそれを受け取り、リュックに入れた。




帰還予定の日にちを彼女には伝えてあるのでおそらく自分の家で待っているだろうと思いながら自宅の玄関を開いたのだが、彼女の姿は見当たらなかった。




「…?」




彼の目に入ったのは、机の上に置いてある小さなメモ。




『急な泊まり込みの任務が入ったので行ってきます。一応ネジの帰ってくる日の夜には帰れる予定だから待っててね。任務、お疲れ様!』




手にとって見てみると、彼女らしい綺麗な字で書かれた文字が目に入った。

時計に目をやれば、もうすぐ日付が変わる時刻。


テンテンの家で彼女の帰りを待とう、そう思い合鍵がポーチに入っているのを確認して自宅を後にした。








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