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□二人の夏
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「今年も暑かったね」




ベランダに座り夕暮れの夏の景色を眺めながら呟いたのは茶色いお団子頭の彼女。

片手には冷えた紅茶、片手にはうちわを持ち少し涼しくなった風に後れ毛が揺れていた。




「毎年こんなもんだろ」




そう言ったのは黒い長髪の美少年。

整っている顔の中でも最も綺麗な彼の瞳は、机上の報告書へと向いている。




「それでも今年は暑かったわよ」


「テンテンが暑がりなだけだ」


「ネジが気温とかそういうのに鈍感なだけよ」




フフッとテンテンが笑うと、ネジも報告書に目を向けたまま微笑した。




「終わった」


「ん、報告書出来たの?」


「ああ」




すっかり固くなってしまった身体を伸ばしながら、ネジもテンテンの右へと移動し腰を下ろした。




「今年の夏も任務ばっかりだったなー」




その言葉とともに、テンテンは右腕の傷痕を擦った。




「傷、」


「ん?」


「その傷、まだ痛むのか?」


「ちょっとだけね」




ネジの目線の先にある彼女の右腕の傷は、先日ガイ班で任務をしたときに負ったものだった。

死の間際に敵が放った最後の一発の毒クナイを、体力が僅かしか残っていなかったテンテンは避けきれずに彼女の右腕に深々と刺さってしまった。

幸いにも毒は強いものではなく医療忍者に診てもらいすぐ解毒出来たものの、皮膚に少々毒が染み込んでしまい少し青く変色してしまっている。








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