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□温もり
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任務が終わり、彼女であるテンテンが住む家が見えてくる頃にはもう日は落ちかけていた。

夕暮れの木ノ葉の街を歩く黒い長髪の彼は、ちらりと彼女が居るはずの家に目を向けた。




(やはりな…)




部屋の電気が、ついていない。









数分前、彼は任務の報告をするために火影室を訪れた。

一通りの報告を終え、火影室をあとにしようとしたときに綱手に呼び止められた。その時の綱手の表情は深刻そのものだった。




「実はな…今日、テンテンと一緒に任務を同行していた者が殉職してな。そいつとテンテンは私から見てもわかるくらい仲が良かった。そいつは任務中にケガをしたテンテンを庇って、起爆札をモロに受けながら敵に自分ごと突っ込んだらしい」


「…」


「1番仲の良かった仲間が目の前で跡形も無く死んでしまうんだ…増援が放心状態のテンテンを何とか里に連れ帰ったんだが、それからもずっと宙を見たままだった。自宅に帰りたいとテンテンが言ったから帰らせたんだが、どうも心配でな。ネジ、今日はもういいから、テンテンの傍に居てやってくれ」









先程の綱手の言葉を思い出しながら、ネジはあらかじめテンテンから貰っていた合鍵で玄関の扉を開けた。




「テンテン…」




テンテンの部屋の扉を開けると、
真っ暗な部屋の中、ベッドの上でこちらからは顔が見えない向きに彼女は座っていた。


彼は何も言わずに彼女の隣に座った。




「テンテン」




そっと抱き締めると、彼女はカタカタと震えていた。




「綱手様から聞いた。…1番仲の良い友達だったんだってな」


「…」


「つらかっただろ?」


「…私が」




今まで黙っていたテンテンが消えそうな声で、震えている声で言葉を発した。

いつもの明るい彼女からは想像もつかないような、弱い弱い声で。




「私が殺したんだ!私が…!」


「違う」


「何で私が生きてるの…?死んでいたのは私だったはずなのに!何で、何で…っ」


「テンテン!」




泣き叫ぶ彼女を、彼は自分の胸に押し付けた。




「っ、私…っ!」


「もういい。もう喋るな…テンテン、よく耐えたな」


「ネ、ジ…!」


「ああ、もう大丈夫だ。オレはここにいるから」







「ここにいる」

その言葉に安心したのか、テンテンはネジの胸に顔を埋めて再び大声を上げて泣いた。


こんな時にこんなことを思うのも不謹慎なのだが、いつもは強気な態度ばかりとっているくせに実はすごく弱くて、誰よりも優しくて、本当は脆い脆いテンテンをずっと守っていく、彼は本気でそう思った。







end.

 

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