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□いつだって相思相愛
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今日は彼氏であるネジの家に、テンテンが泊まりに来ている。
二人は夕飯を済ませ、お風呂に入るお団子頭の彼女。
入浴を終えてがしがしと頭をタオルで拭くのだけれど、何だか今日は熱っぽくて手に力が入らない。
おまけに咳が出てのどは痛いし、立ちくらみまでする始末。
明日も任務なのになあ、と溜め息をつきながらタオルを首にかけたまま、ソファーに座っている彼の隣に彼女も座る。
「げほっ、げほ」
「風邪か?」
「みたいね…嫌だなあ、明日も任務なのに」
この重たい身体を引きずって任務に行くのはさすがに面倒くさい。
「テンテン、ここに座れ」
不意に彼がそう言って自分が座っているソファーの下を指差す。とりあえず言われたとおり、彼女は彼の足の間に腰を下ろす。
「風邪引きは早く休むのがベターだ」
ふとテンテンの首からタオルを取り、わしわしと髪の毛を拭く。何だかその感覚がとても心地よくて、目を閉じる。
そのあとネジは丁寧にドライヤーまでして、今日は早く寝ろ、と一緒に寝室まで移動する。
二人でベッドに潜り込み、向き合うように寝転がるとネジはテンテンの後頭部に手を伸ばし、頭を撫でる。
「風邪が早く治るまじないだ」
そう言った彼が瞬間、テンテンの後頭部をぐっと引き寄せられ二人の唇が重なった。
「…ネジに風邪うつっちゃうかもよ?」
「それでお前が楽になるのなら構わない」
彼女の下唇を親指でなぞりながらフッと笑う彼は、あまりにも綺麗で。
何だか恥ずかしくなったテンテンは目を閉じた。
「…おやすみ、ネジ」
「ああ、おやすみ」
どちらからともなく繋がった手を、どちらからともなくそっと握り返し合った。
end.