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□7日目の決意
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「もしも、本当にもしもの話よ。明日死ぬとしたら、どうする?」
「そうだな。……色んな人や色んなものに繋げてもらってここまで生きているんだ、まだ死にたくはないな。」
という会話を最愛の人と交わしたのはもう十年以上も前の話。
未だに鮮明に、一言一句違わず覚えている。
『…なんてね!冗談よ、ネジがそう簡単に死ぬはずが無いじゃない。』
そう思っていた。
そうだと信じて疑わなかった。
『…そうだな、そそっかしいテンテンを遺して死ねるわけがない。そう言っている矢先だが、台所が焦げ臭いような気がするのは気のせいか?』
確かに、苦笑いをしながらそこに彼が居た。
確かに、笑い合えた私たちが居た。
まさか、そう話した直後に忍界大戦でネジが死んでしまうなんて、本当に夢にも思わなかった。
そんなことはこの十年の間に幾度と思い、悲しみに暮れては涙に終わりはないことを思い知った。
どれだけ月日が経っても、無念さと後悔で心が千切れそうで、生きていくことを辞めてしまおうと考えたことも一度や二度ではなかったけれど。
「ねえ、母さん」
自分のことをそう呼ぶ彼の忘れ形見がいたから、何とかここまで生きてこれた。
ネジの死後に命がお腹に宿っていることを知ったため、父親の顔は知らない息子なのだが。
「何、どうしたの?」
ネジと同じ眼の色をし、そっくりな顔付きな息子は不満そうな表情で口を紡いだ。
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