日向さんち。

□すやすや
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規則正しい寝息が聞こえる寝室。

二つ分の寝息の主たちが寄り添って眠っているのを確認すると、ネジは自然と顔を綻ばせた。


ネジは二週間前から国境警備の任務に就いており漸く交代の日を迎えた今日、久しぶりに我が家へ帰ってきたのだった。


シャワーを浴び、二週間ぶりに袖を通した寝巻きから柔軟剤の香りがするのが心地良い。

夕飯はシチューだったのだろうなと分かるような、料理の匂いが残る生活感のあるリビングが心地良い。

そして何より、安心した表情で眠る妻子の寝息が聞こえる寝室が心地良い。

戦場とはかけ離れた、温かいものばかりのこの家にあるたくさんの心地良さが、疲れたネジの心身を癒す。


眠っているテンテンと月冴を起こさぬよう、そっと毛布と掛け布団を捲ってネジもベッドへ潜る。

月冴を抱き締めるようにして眠るテンテンと同じように、反対側から月冴を抱き締める。


寝ぼけているのか、目を瞑ったままふにゃりと月冴が笑った。



そっと月冴の頬を撫でてやると、月冴はネジの方へ抱き着くように寝返りを打った。

腕の中の月冴の動きに反応して、テンテンの目がぱちりと開いたのがネジは暗がりの中でも分かった。







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