日向さんち。

□こんこん
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「今日は一段と冷えると思っていたがやっぱり降ってきたな」



親子三人での買い物帰り。


空からひらひらと舞い降りてくる白いそれは、この冬初めて見るものだった。



「わー、初雪ね!」



鼻を真っ赤にしたテンテンに手を繋がれている月冴の鼻も真っ赤で。


そんな母子の姿を見て、両手に大きな買い物袋を下げたネジは微笑んだ。



「月冴はこれが本当の初雪だな」


「去年は風邪引いちゃ駄目だからって冬の間はネジが月冴を外に出さなかったもんね」


「当たり前だろう」



月冴は口を開けたまま空を見上げ、生まれて初めての雪に興味津々のようだ。

雪を捕まえようと一生懸命に小さな掌を広げて握ってを繰り返してはいるものの、実際にその手の中に雪があるのかは定かではない。



「雪だ、ゆーき。月冴も言ってごらん」


「うーきー」


「そうそう、上手だぞ」


「ふふっ、教育熱心なパパだこと」



そうしてしばらく戯れているうちに、先程までひらひらと降っていた雪が徐々に強くなる。


気付けば肩にうっすらと雪が積もっていた。



「これは明日積もるかもな」


「すごい降ってきたわね。ほら、月冴、そろそろ帰ろうよ。月冴のお鼻真っ赤っ赤だよー」


「そう言うテンテンも鼻真っ赤だぞ」



ホント?と少し恥ずかしそうにテンテンは鼻を擦って、月冴を抱き上げてネジの元へ駆け寄った。



「寒いからくっついちゃおっかな」



相変わらず重そうな買い物袋を下げたネジの腕に、テンテンは強引に腕を絡ませる。



「ぱーぱ!」


「月冴も寒いよねー。パパがあっためてくれるって」


「両手が塞がってさえいなければ肩でも抱いてやるのに」


「絶対外ではそんなことしないくせに!」



そんな何気ない会話で溢れた笑い声は、白い息三つ分。





こんこん
( パパー!うきー! )
( 月冴、それだと猿みたいだぞ )


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ネジパパは雪がよく似合いそう。



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