日向さんち。
□どうぞ、よろしく
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月冴が産まれた翌日。
六代目火影であるカカシの厚意で一週間の休暇を貰ったネジは朝から病室に居た。
「月冴のお洋服買わないとね」
「…今までに散々買っただろう」
「でも今までは男の子って分からなかったから、黄色とか白とかどっちでも着れる色ばっかりだったじゃない?やっぱり男の子と言えば青よ♪」
青がいいよねー?と楽しそうに月冴に話し掛けるテンテンを見て、ネジは何も言えるはずも無く顔を綻ばせた。
と、その時。
「ネジ!テンテン!おめでとうございます!!」
ガラッと大きな音を立てて病室のドアが開いたと思ったら、立っていたのは見慣れた全身緑のチームメイト。
いつものようにあまりに大きな声で言うもんだから、驚いた月冴がえんえんと泣き始めた。
「もう!リーが大きい音出すから!」
「す、すみません…」
怒るテンテンと落ち込むリーを横目に、ネジが泣き喚く我が子をベッドから抱き上げる。
「少しびっくりしただけだよな」
優しい顔で、優しい声色で、あのネジが子どもに向けて話し掛けている姿に、リーは目を丸くした。
「ネジ、急にお父さんっぽくなりましたね!」
「でしょー?ネジったら意外と月冴をあやすの上手いのよ」
「将来はお父さんっ子間違いなしです!」
いつもの如く親指を立ててウインクをするリーの"お父さんっ子"の言葉に、悪くないなと思ったことはネジだけの秘密で。
「それにしても見事にお二人を足して二で割った感じですね、どちらにもそっくりです!」
「ほんと?だったら嬉しいんだけどな」
やっと泣き止み、ネジの腕の中で再び眠り始めた月冴を三人が見つめる。
赤ちゃんは天使って本当ですね、とリーが月冴の頭をそっと撫でた。
「リーも抱っこしてみる?」
「でもさっきみたいに泣かれたら困りますし…」
「その時はまたネジに頼めばいいのよ」
「そうですね!」
「お前らな…」
ネジは溜め息をつきながら、リーにゆっくり月冴を手渡す。
リーの心配は杞憂だったらしく、変わらず月冴は気持ち良さそうに眠っている。
「ちっちゃいですね…」
「ね、めちゃくちゃ可愛いでしょ?」
「ほんとに可愛いですね!僕にも懐いてくれたらいいんですけど」
「くれぐれもガイ特注のスーツなど渡すなよ」
冗談めいたように小さく笑ったネジを見て、テンテンとリーも釣られて笑う。
いつまで経ってもこのチームは変わらず温かいままだと三人共思ったが、口には出さずにそっと胸へとしまった。
どうぞ、よろしく
(パパママの一番のお友達だよ)
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リーと月冴の初対面。
「リーお兄ちゃんが言ってた!」が月冴の口癖になりそう(笑)