日向さんち。

□プレゼント
1ページ/1ページ








「ネジー、あの棚から鍋取ってほしいな」


「あの黒いやつか?」


「そうそう」





ひょい、とその鍋を手に取ったネジ。


ありがとうと言い、テンテンがネジから鍋を受け取ろうとすると、頭に彼の手が乗せられた。




「夕食なら俺が作るから、お前はもう座ってろ」


「もー、ただでさえ何もさせてくれないんだから、ご飯くらい作らせてよ」




むっとするテンテンを見て、ネジは彼女のお腹に手をあてた。



膨らんだテンテンのお腹。

二人の子供がここにいることが、目に見えてわかる。




「何かあったら困るから」


「私とネジの子なのよ?そんな柔なはずないじゃない」




ねえ?とお腹の子に向かって話しかけるテンテンの顔は、もう立派な母親の顔で。


そんな愛する妻の姿を見て、ネジは自然に口元を緩めた。




「なら、今日は俺が作る」


「どうして?」


「たまにはいいだろ」


「…そうね、たまにはいっか♪」




エプロンを外して、台所をネジに任せたテンテンはダイニングの椅子に座った。



しばらく器用に調理する彼の後ろ姿を見ていたテンテンだったが、ふと視界に入ったカレンダーを見つめる。


そのカレンダーは今朝彼女がめくったばかりで、大きく七月と書かれている。




「ねえ、ネジ」


「なんだ」


「明日も明後日も一日任務だって言ってたわよね?」


「ああ」




今日は7月1日。


明後日の7月3日はネジの誕生日だ。


誕生日プレゼントに何か買おうと思っても、妊婦であるテンテンに対してあまりにも過保護な彼は、彼女一人での外出をまず許さないだろう。



しかし物をあげるのが無理ならば、とたった今考え付いた誕生日プレゼントに、テンテンは小さく笑みを浮かべた。




「ネジの誕生日プレゼントにさ、すごいものあげるわ」


「すごいもの?」


「ネジがこの子の名前を決めてあげて」




思わず調理をしていた手を止めて、ネジが振り返る。




「…俺が決めてもいいのか」


「ネジに決めてほしいの」




ひどく優しい顔をしたテンテンを見て、ネジは苦笑した。




「責任重大だな」


「変な名前つけたりしないでよー?」


「当たり前だ」




予定日まで、あと四ヶ月。


性別は聞かないようにしようと二人で話し合い、お互いにまだ知らない。




「男でも女でもいいような名前を考えないとな」


「頑張って考えてね、パパ」


「…俺にパパは無いだろう」


「いいじゃない。ネジパパー♪」




テンテンの明るい笑い声が響く。



子供が生まれるまでに、もっと明るい家庭を作ろう。



そう思って、ネジは再び台所に立ち調理を再開した。





プレゼント


(君が生まれて来たら)
(ますます幸せになると信じて疑わない)






----------

何よりテンテンと我が子が大切なネジパパ。


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ