短篇集

□虚ろな人形
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名前さえ知らなかった。
黒い髪で肩より少し長かったように思う。
瞳も黒くて、少し悲しそうに見えた。

大切な何かをなくしてしまったような、壊してしまったような。

僕は彼女に触れようとした。
それで、彼女の悲しみが少しでも薄れるならと。

だけど。

彼女の悲しみは闇の奥底にあったのだ。
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