短編

□EVERYBODY HAS THE DEVIL ON INSIDEB
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目が覚めると7時だった。
「……何時に来いって言ってたっけ。」
まどろみの中、なんとか目を半分開けて時計を眺める。手元にあった時計はケータイだったので眩しい。
「……7時だ。」
寝起きの布団ってなんだか気持ち良い。中々出れなくて二度寝することが多い。
「……ってまずい。」
ガバッと布団を押し退けて部屋を出る。
何をやってるんだ、僕は。学校だって滅多に遅刻しないのに、こんな日に限って寝坊するなんて。
まずはトイレに行って顔を洗って着替えて、あぁそうだ場所もネットで調べないと。
「昨日のうちに調べておけば良かった。」
トイレの扉を開くとカーテンの無い窓から朝日が差し込んでいた。
寝癖直してる時間あるかな。何で朝からこんな急がなきゃいけんだ。
「……朝?」
用を足して小走りで自室に向かい、カバンからチケットを取り出す。
open 17:00
start 17:30
「17時って夕方だよね……。」
こうして僕はいつもの休日のように二度寝して、いつもの休日のように昼過ぎに目を覚ました。





やっぱり寝起きというのは冷静さを欠いていて、一瞬で色々なことを考える割りに視野が狭い。
待ち合わせ時間にしたって昨日の笹雲さんはしっかり19時と言っていたし、場所だってチケットにはっきり書いてあった。
僕は慣れないことに舞い上がってしまったのだろうか。遠足に5分寝坊したからそのままサボったこともあるこの僕が。
笹雲さんに会うのが楽しみなのだろうか。あんまりそういう感じじゃないけど。でも、少なくとも学校よりは重要なのかもしれない。現に慌てたのだから。
「ここだ。」
チケットに書いてあった場所に着いた。最寄り駅は学校と同じで北栗浜駅。学校とは違う方向で川沿いにそのライブハウスはあった。
「ライブハウスだったんだ…?」
家に帰ってから気づくことだけど、それもチケットに大きく書いてあった。
「すごく入りづらい…。」
でも入らないと。中で笹雲さんが待ってると思うし。やだなぁ。
「いらっしゃいませ。どちらのバンドを観にきましたか?」
長身イケメンの人が座って受け付けをしていた。
「え、えっと…。」
バンド、知らない。て言うか笹雲さんバンドやってるのかな。
今日のプログラムが書いてあったのでそこからてきとうに言ってみる。
「…たごまるを観にきました。」
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