短編

□狂人思考
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ましてや個人に対して憎しみや恨みも無い。
単純に人を殺してみたい。
生から死に変わる瞬間を見たいのか。動よりも静が好きなのか。自分の心情も分からずに欲求だけが溢れ続ける。欲求は際限なく増していき、いつかこぼれ出すだろう。
人を殺すことに何の利点もない。恨みがないから心が晴れる訳でもなく、現代日本で人殺しの味方になる者は存在しないだろう。
そして一度欲求を満たしたとしても欲求が枯渇するとも思えない。
こんな風に溢れ続けているから、こぼれるその前に満たす為の計画を綿密に組まなければいけない。行動の前と行動中と、それから先ずっと…。
そうすればその先も良い人のまま生きていけるだろう。生きやすい環境を維持できるだろう。
良い人を演じるのは苦ではない。多くの味方ができるし、山上のような優しい人間にも出会えた。利点しかないだろう。
俺が本音で話しをしていたら誰も近寄ってこない。この衝動以外のモノに執着しなくて冷たい人間だと思われるはず。
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