短編

□神なんて信じない
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人が来てしまったから、また人のいない所に行こう。
「聞かせてくれないか?」
「え?」
「何故神を信じないか、良かったら教えてくれないか?」
透き通った眼で俺の目を見る。まるで俺の深層心理まで見透かすように。
「もし、神が存在するなら俺を救ってくれなかった。それだけだ。」
「フフッ、神は気まぐれだからネ」
なんだコイツ。からかっているのか?
「ココは来る度に面白い出逢いがあるな。縁(エニシ)ってのはすごい。」
「縁、か。運命よりは良いな。」
「縁ついでに教えてくれないか?神が救ってくれなかった時の事を。」
かなりど真ん中を突いてくる。もう少し気を利かせて欲しい。
「………。」
話して楽になる事もあるのだろうか。なんとなくコイツには話して良い気がした。
「昔、俺が幼い頃。一瞬の事故で家族を無くした。それからずっと独りでつらかった。けど、ようやく俺にも愛せる人ができた。やっと宿り木を見つけて心を落ち着ける事ができた。それなのに、彼女は病気で寝たきりに。もう二度と目を…覚まさないかもしれない…。」
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