短編

□EVERYBODY HAS THE DEVIL ON INSIDEF
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「うちの生徒に何してんだ?」
落ち着いた口調が、また恐い。
「ふじくん、パトカーのサイレン鳴ってる。」
「まじか。じゃあ逃げるか。」
と、言いつつ上段蹴りでもう一人も倒した。腕を抱えていた僕もつられて地面に座り込む。
「あ、あの…。」
お礼を言う前に走り去ってしまった。一緒にいた女の人も共に。
「ふじくん…?」
「笹雲さん、知り合いなの?」
「生徒会の藤瀬くん。…って霧生くん大丈夫!?」
「大丈夫。」
「霧生くん!笹雲さん!」
急に山田くんが現れた。
「ごめん。ズンを避難させて警察に通報してた。」
うん、それに期待してた。
山田くんが警察を呼ぶまで時間稼いで、警察に助けてもらう予定だった。
違う助かり方したけど。
「警察に色々聞かれるのは良くないかな。この人達気絶してるし。一旦この場を離れよう。」
わりと落ち着いてるなぁ、僕。
「分かった。ズンのいるところまで行こう。」
「霧生くん歩ける?」
「大丈…夫。」
「俺が肩貸すよ。」
「私が二人の荷物を持つ。」
「二人とも、あ…ありがとう。」
うぅ、なんか恥ずかしい…。優しくされるって何だか恥ずかしい。痛みも忘れそうだ。
いや、そんなことはない。落ち着いてきたらすごく痛くなってきた。特に鼻が。顔も体も痛いけど、鼻の奥がじんじんする。
「鼻血、出てない…?」
「え、出てな…うわ!」
「あ!」
「へ?」
「笹雲さんティッシューっ!」
「山田くん落ち着いて!霧生くんは上向いて待っててね。」
笹雲さんが冷静になってきた。流石だなぁ。
あー血の味がしてきた。ちょっと懐かしい。どれくらいぶりだろう。僕って怪我するようなことしないからなぁ。
「はい、霧生くん。ある程度ふきとれたら詰めよう。」
「はい…。」
人前で鼻にティッシュ詰めるのって嫌だな。早く止まれ早く止まれ。
再び山田くんに肩を貸してもらってゆっくり歩く。歩く振動で腫れたところが痛い。これって何日か続くのか。だったら困るなぁ。
親はなんとかなるとして、学校で教師に聞かれたらどうしよう。いじめとか思われるかな、僕華奢だし。華奢っていうかひょろいし。でもいじめられたことって無いんだよね。いじめられないくらい目立たない。
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