短編

□EVERYBODY HAS THE DEVIL ON INSIDEF
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「調子乗んのも大概にしろコラァッ!!」
ほら、ね。
ていうか「てんみぇ〜」って言った。みぇ〜って…。
「ちっと痛い目に合わねぇとわかんねぇか!?あぁッ!?」
「やっちまうぞオラァッ!!」
あ、まずいな。

 ドゴッ

「なんだテメェ!?」
拳を振り上げたのが分かったから間に入ってみた。
笹雲さんのやり方ではきりがないと思うし、山田くんは純子さんと一緒に何処かに行ってしまった。まぁ、懸命だと思う。
この事態を早く収めるにはコレが良いかな、と思った。
あぁ、痛い…。殴られた左頬がすごく痛い。涙が出てきそうだ。
これだけ痛いから、うまくいって欲しい。
「今更入ってきてんじゃねぇぞぉっ!」
「ごめんなさいごめんなさい。」
「腰抜けがぁっ!黙って見てろ!」
くっ!また殴られた。痛い。痛い。痛いのは、嫌だ。
「ごめんなさい。勘弁して下さい。」
「はぁ!?何なんだよさっきまでぼーっとしてたくせによぉっ!」
ぐぅぅ…!今度は腹を下から殴られた。吐きそうだ。痛いし、気持ち悪い。もうちょっと。
「テメェにかまってるヒマぁ無ぇんだボケェッ!!」
「ごめんなさいごめんなさい。」
「しつけーぞぉッ!!」
「ぐぁっ!」
下を向いていたら顔を蹴り上げられた。あぁ、もう。痛くてしょうがない。もう嫌だ。鼻血が出たかもしれない。
「霧生くん!」
笹雲さん。ちょっと黙ってて。この方法なら絶対うまくいくから。
「人の心配してんなオラ!」
僕の後ろにいた笹雲さんに腕を伸ばしたのが見えたから、それを掴んだ。いや抱きとめた。
「ごめんなさい勘弁して下さい。」
「気持ち悪いぃぃぃんだよっ!」
「霧生くんっ……!」
大ちゃんだか元ちゃんだか忘れてしまったけど、腕を抱かれてない方が拳を振り上げているのが見えた。怖くて目をつむる。
これは、まずい。ここまでは想定外だ。やっぱりうまくいかないなぁ。そもそもかなり浅い計画だけど。
あと、笹雲さんはまだ後ろにいて欲しい。前に出てこないと良いけど。

  ズンッ

なかなか痛みがこないから目を開けてみると、拳を振り上げていた男が視界にいなかった。視線を下げると地面に倒れていた。
そして僕の隣には正拳突きの姿勢の人がいる。
身長は僕と同じくらい。男子高校生の平均よりちょっと小さいくらい。短髪茶髪。ピアス。かなり、恐い顔をしてる…。
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