短編

□EVERYBODY HAS THE DEVIL ON INSIDEC
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はぁ…。はっきり言って迷惑だ。僕は人と接するのが苦手だと言うのに。だから誘われたんだろうけど。
好意だとしても、めんどくさい。
ただ、社交性が無いのは事実だ。他の能力にしたって大したものは何も無いが。
親切を無下にしてはいけない。めんどくさい。めんどくさいけど、僕の為にやってくれている。僕に損は無い。むしろ有益…。
それに…。
「……では、お願いします。」
そう言ったことに後悔しつつ頭を少しだけ下げてみた。
「やった!うん!こちらこそお願いします!」
「じゃあ、彼女にも連絡してくる。」
「あ、お願い。彼女さんにもよろしくって伝えてね。」
「はーい。良かったよ霧生くん。断られるかもしれないって笹雲さん心配してたんだ。」
「心配…。」
「二人とも当日はよろしく。」
そう言って山田くんは爽やかに笑って教室を出ていった。
「霧生くん、詳細が決まったら連絡するからアドレス教えて。」
「あ、はい。ちょっと待って。」
紙とペンを取り出し、書き始める。笹雲さんはケータイを開いて何かしてる。
「じゃあ、私が赤外線受信にするから送信にして。」
「へ?」
「あれ、もしかして赤外線出来ないケータイなの?」
あぁ、そうか。
紙に自分のアドレスを書ききる。
「僕、ケータイ持ってない。」
「……えぇっ!?」
なんか、素の反応。
なんか、珍しい。
「…本当に?」
「いや、必要なかったから。はい、パソコンのアドレス。」
「あ、ありがとう…。」
笹雲さんは複雑そうな表情で紙を受け取った。
「パソコンのアドレスはあるんだ。」
「ネットやるのに必要だったから。」
「そっか。山田くんにも連絡してもらおうと思ったけど、しょうがないね。」
「申し訳ない。」
「いえいえ。もし良かったら、お金に余裕があるなら、デートの日にケータイ買いに行かない?」
「……考えとく。」





そんな訳でデート当日。
気分が重い。
いったい何を話せば良いのやら。きっとわりと長い時間になるだろうし。山田くんにしたって朝の挨拶以外はほとんど話さない。その上に山田くんの彼女という知らない人までいる。さらには笹雲さんという何をするか分からない人が主催者。
「はぁ…。」
僕は一日もつのだろうか。
正直、帰りたい。みんな体調不良とかなって今日は中止にならないかな。
「霧生くーん!」
なる訳無いか。
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