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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第三話A
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今も顔を布で覆っているという事は傷が治りきっていないのかもしれない。
「最近この街に来た奴で、茶髪の外人の居所が知りたい。もしかしたら人間じゃないかもしれない。」
「ふむ…。察知能力は鋭い方だとは思ったが。まぁ、解り難い気ではあるな。」
「知ってるのかっ!?」
「いや、この街には数匹ほど使い魔を放っている。それで知っている。」
「場所は?」
「路地裏だ。お前と入れ違いになったようだ。」
さっき路地裏に行った時はいなかったから、その後に来たのか。
「分かった。ありがとう。代金は?」
「手間はかかっておらん。金などいらんよ。」
「それは助かる。ありがとう。じゃ。」
そう言って路地裏に向かう。
ふむ。この仕事をしてお礼を言われるのは初めてかもな。大概は金を払えばそれで終わり。仕事だと割り切っているから。あの小僧は2回もお礼を言ったな。





路地裏。昼間は人通りが少なく、忙しい人がたまに通過するだけで、何も無い所。
しかし、夜は異様に広く感じる。狭い通路。たくさんの曲がり角。たまにある広場。まるで魔窟である。異形のモノが住み易い土地。
その様変わりしたこの路地裏を歩く。
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