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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第三話@
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ほら、また。誰もいない公園なんか打って付けじゃないか。
「フッ。」
思わずほくそ笑む。
俺はこんなにも弱いじゃないか。精神が…。
今まで殺してきたのは魔だと割り切ったつもりだったが、どうにもナニかを殺したい衝動は収まり切らない。
出来れば誰も通らないでくれ。俺は今ヤバいんだ…
「同類見〜っけ。」
ッ!?
急に背後から音が飛び込んできた。今まで静寂の中にいたせいで余計に驚いた。でも、確かに人の気配はなかった筈。
驚いた素振りをすると負けた気がするので、なんでもない顔して振り向く。
そいつは俺のとなり、ベンチの背もたれの上に顎を置いていた。
「お前は…?」
いつの間にいたんだ?全く気付かなかった。誰もいないからこそ、落ち着いていたのに。
「俺ッチはビリー。お前は?」
名前を訊いたつもりじゃなかったんだが。
「刃内 寥だ。」
茶色い髮はクセの強そうなウェーブがかかっている。瞳も茶色い。にやけた口端。とても薄着だ。タンクトップにミリタリーパンツだけ。
どっからどう見ても外人だ。なんでこんな所にこんな時間に外人がいるんだ?
「なぁ、なんでここに来た?」
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