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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第五話D
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「硬…ッ!?」
緑須はまるで効いてないとばかりに、今までと変わらない速さで二撃めに移る。
近距離での攻撃は回転だった。六枚の羽を全て使った。
「ぐぁぁッ!!」
咄嗟に体を庇った両腕と右足がズタズタに斬られた。
「発想は良いかもしれないが、浅慮だな。」
「む…。」
「この速度で移動しているんだ。この硬皮は生身の打撃くらいは凌げる。」
「…そうかよ。」
つまり打撃は効かないけどナイフは通じるってことか。だから今まで避けてたんだな。
「終いだ。」
緑須は後ろに飛び、助走距離を取った。自らの持てる最高速で仕留めるつもりだろう。
「名前は覚えておく。」
 ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!
視界の緑が大きくなっていく。今までよりも速く、鋭く迫ってきた。取り巻く空気を全て切り裂いて、目標を断ち斬らんとするその姿はまさに、緑の弾丸と呼べた。
「刃化完了。」
ずっと避けれなかったのに、いまさら回避するのは不可能だ。
「ぬあぁぁぁぁッ!!」
鈍い悲鳴が山に響いた。息を潜めて傍観していた鳥達が飛び立つ。
「こんな!こんなただの鉄屑がッ!?」
悲鳴の元は緑色だった。
「ただの鉄屑じゃないさ。」
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