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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第五話C
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ついでに白髪の劫の方は大人しそうだけど、目の前にいる黒髪の刹那は気が強そうだ。
「俺も劫と気持ちは変わらない。すまないと思っている。だが、なんで俺の存在を知っているんだ?」
「昨日の夜、お前らが戦っているのを見た。それで思い出したんだ。あの日、すれ違ったのは黒髪だったと。」
「…なるほど。」
分かる。生雪が一言発する度に怒りが沸き上がってくるのが。このままだとまずい…。
ブブブブブブ!
マナーモードにしていた携帯電話が振動した。
誰だよ!?こんな時に!
画面を確認する。
…四阿サン……。
少し距離を取って電話に出る。
ホラ、俺が話しの腰折ったから二人とも黙ってるよ…。
「…なに?」
『よぉ。』
こっちの不機嫌さに気付いているのか、いないのか。いつもの調子で喋り始める。
『今誰といる?』
「樹舞ってやつと双形ってやつだよ。」
『それは丁度良いな。魔が三体現れたからそれぞれ倒してくれ。』
「…生雪も入ってんの?」
双形は同じ百鬼夜行の人間だから分かるけど、生雪はキマイラとはいえ一般人として暮らしてきたらしい。そんなやつに戦わせるのか?
『言えばやってくれんじゃないか。たまにやっててくれたみたいだし。』
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