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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第五話B
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復讐…じゃないのか?いや、まぁ殴るなら復讐にもなるか。
それにしても殺伐としたものが感じられない。なんというか…和やか?
「俺の父さんは憎むだとか、恨むとかっていう気持ちはいらないと教えてくれた。そんな父さんが大好きだったし、だからこそ教えも守ってきた。それでもそれは無理な話しだ。」
あぁ、そうか
「だから一発ぶん殴ってやる!」
生雪はこの上なく優しいやつなんだ。
「話しを訊くのはそれからだ。」
しかもちゃんと話しも訊く。
「ぷっ」
「ん?」
「アーハッハッハッ!」
「な、なんだよ?」
「アハハハハ!いや別に!良いよ!生雪らしいよ。アッハッハッ!!」
さっきまで物騒なことを考えていた俺とは大違いだ。やっぱり自分の持っていないモノを持っている人間は羨ましいし、尊敬できる。
「わっかんねぇなぁ…。」
なんで笑われてるか分からない、といった感じで頬を膨らませブチブチ呟いている。
そういう子供っぽい仕草が生雪らしさ醸し出しているようだ。
「フフッ!」
「まだ笑ってるし…。」
「悪い悪い。で、これからどうする?」
「あ〜、なんか疲れたから帰るよ。腹減ったし。」
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