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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第四話B
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落ち着け!落ち着いて考えるんだ!!まだ死んでないんだ。何か方法をかんがえろ!
時間は僅か。しかし思考は深く。脳の全てを活動させる。
魔除けの護符。あれはどうして魔を退けた?




「四阿サン、魔除けの護符ってどうなってんの?」
護符を受け取りながら聞いてみた。
「う〜んと、ようは自分の領域を示すらしい。」
「領域?」
言葉を反芻する。
「うん、家の敷地を示すのに柵をたてるだろ?それを概念で行っているらしい。」
「らしいって…。なんか曖昧だな。」
「だってもらいモノだし。使うことあんまり無いから。」



「自分の領域を、示す。」
ここは初めてきた場所で何も知らない。知っていると言えば今は使われていないサナトリウムという事。ただそれだけ。
けど、この身体の事なら全て知っている。16年間、俺の意思の下に動かしてきた身体だ。他の何よりも知っている。どんなものにも干渉することの出来ない、俺だけが制御出来る身体。どんな時だってそれは変らない。俺の為のこの身体で、この身体の為の俺。俺があるからこの身体があって、この身体があるから、俺が在る。
だから、誰にも踏み込めない俺だけの領域。
「出て行け、無礼者!」
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