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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第四話B
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顎関節が鳴っている。

「ッ………!?」
見ればひび割れて右の眼窩があったあたりが無くなった頭蓋骨が闇に浮いていた。カタカタと顎関節を鳴しながら。
「嘘だろ…!?」
少しずつ近付いてくる。
「頭に核があるのか…?」
眼窩の光は今にも消えてしまいそうだが、一つの覚悟を決めた強さが顕れている。
寥が腰を上げきるその前に高速で飛び込んできた。
思わず手で受け止めようと手を出したが、通過していった。
「なッ!?どこにいった?」
辺りを見渡しても視認出来ない。どこにもいない。
移動してまた見渡す。するとサナトリウムのガラス窓があった。
「…やりやがった!」
ガラス窓には寥が映っていた。そして胸のあたりにうっすらと白い影がある。それは頭の一部を失った頭蓋骨であった。
「自爆…する気か…。」
まずい!ヤバい!!
さっき壁の中で透化が解けた時に壁の方にもひびが入ってた。つまりこのままだと俺の身体の中が砕けてしまう。
死んじまう…!
油断していた。慢心していた。とどめを刺したつもりでいたからこうなった。
「どうすりゃ良いんだ!?」
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