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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第四話A
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死神は大鎌を振るう。その動きは首や四肢を刈り取ろうとするものであった。柄と大刃からなる攻撃は範囲は広いが、四阿の特訓を受けている寥にとって躱すことは容易である。一歩ずつ間合いを詰めてくれば一歩ずつ間合いの外に出ていって今まで攻撃を躱していた分の感覚はずれるが、時間による慣れの問題にすぎない。
「ここだ。」
鎌を見送ると同時に二歩前に踏出す。愛用のナイフを死神の胸に突き刺す。
「あ!」
予想していた感覚と違った。いや、ナイフから感覚が伝わって来なかった。死神がさっきまで背負っていた外灯の光が直接自分を照らしている。つまり、透化した死神を通過して死神が立っていた位置の後ろにきてしまった。
急いで振り返る。見えたのは振り返り終えた透けた死神。
  ザクッ!
「つうっ…!」
先端についている小さな刃で肩を突かれた。
深くはない。大丈夫だ。それにしても、あんなに透化の切替えが早いなんて。攻撃のしようがない…。
すかさず突いてくる死神。大刃の部分の峰にナイフをあてがい、突いてくる勢いに乗って後ろに跳ぼうと構える。
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