読物

□退魔師列伝 魔刃朱殺 第四話A
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「ついに来たか。」
冬人の病室を見張ること三日め。やっと死神が現れた。死神といっても冬人が見てそう感じただけで、ただの魔のはず。建物の中には入れないので4階の冬人の病室の真下の壁に背を預け、座って待っているという日々だったが、なんか淋しいわ寝不足だわでイライラしている。だからこの怒りをぶつけてやるつもりだった。
「だったんだが…。」
いきなり4階の高さまで浮きながら現れやがった。参ったな…。
ボロボロの衣を全身に被った黒い影。暗くて顔は見えないが、身の丈ほどの大鎌を持つその手は白い骨だとみとめられる。
予想通り冬人の病室に向かってゆっくり近付いていく。
今から病院に入って4階まで走っていっても間に合わない。それに入れるかどうかも分かんねぇ。
黒い影が窓に接触する手前で黒い影の色が薄くなった。影の背景が透けて見える程に。
「冬人が言ってたヤツがこれか。」
これで窓を無抵抗で通過して音も無く人を襲う。
しかし、通過することはなかった。
窓に触れたと同時に黒い影が電撃に弾かれるように窓から離れた。その肩から煙りが昇っている。
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