短編

□EVERYBODY HAS THE DEVIL ON INSIDED
1ページ/4ページ



デートの定番とのことで映画を観てきた。もちろんラブストーリーだ。何でも僕意外みんな観たかった作品らしい。それなりに話題性のある洋画のようだ。
僕は、あまり映画を見ない。CDを借りる時に気まぐれで映画を借りることもある。てきとうに手に取りやすい位置にあるのを借りてみるけど、記憶に残るようなものはほとんど無い。
今回の映画も覚えていられるかどうか。でも、最後の方の夕日と一緒に船が現れるシーンは綺麗だったかな。
ストーリーはお婆さんが窓から海を眺めるところから始まる。子供がやってきてお話しをして欲しいとせがむ。この海からいつか恋人が帰ってくるというお話しをする。幼い子供はもっと続きをと急かす。困ったお婆さんは何かを思い出すようにお話しを考えた。
泣いている男の子に気まぐれで女の子がハンカチを渡す。その女の子があまりにも自分好みで、男の子は一目惚れをしてしまった。それから二度と情けない姿を見せないようにと強くなる決意をした。
それから、荒れた学校で好き放題暴れる不良が女の子に興味を持つ。女の子は気丈に断ったが、不良が逆上してしまう。そこに現れた男の子。威勢良く飛び出したものの、体は鍛えたが実戦はしたことがなかった。内心とても怖かったらしい。
決闘を申し込み、全校生徒の前で見事打ち勝つ。平和な学校生活が始まる。しかし、停学処分になり女の子はお礼を言う機会を逃してしまう。次の年から同じクラスになり友達になり、数ヶ月後に男の子は告白し二人は付き合い始める。
「君の為に強くなった。」
二人は愛を育むが、男の子は徴兵され戦争に行くことになった。女の子は哀しんだ。ようやく愛せる人が出来たというのに、と。男の子は言う。
「行ってくるよ。国の為、家族の為、何よりも君の為に。必ず帰ってきて、君に結婚を申し込む。この海岸で待っててくれ。」
女の子は待つ。
男の子は戦う。
互いが互いの為に。
それから女の子は毎日窓から水平線を眺め、待ち続けた。
男の子を信じて待ち続け、三十年経った今、いまだに男の子は帰ってこない。
お話しを終えると夕方で、子供は寝てしまっていた。
ふと日の沈む水平線を見ると一隻の船が海岸に向かってきた。
漁船のいない時間におかしいと思い、桟橋まで早足で向かう。桟橋につくと夕日を背に船が近づいてきた。
大半を占める締観と、ほんの微かな希望を抱いて船を待つ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ