読物

□退魔師列伝 魔刃朱殺 第七話A
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話している時はそこまで緊張していなかったけど、一旦会話が無くなると焦る。
思った通りの対応が出来ないと嫌われるんじゃないかと不安になる。
そんな人じゃないとは分かってる。
でも歓喜と不安が何度も交差した。
……恋をするって忙しいんだな。
「ただいま。」
結局、いつも通り…多分、いつも通りの会話が出来ていたと思う。それで終わって今はメールでやりとりしている。
またしても一回一回の送受信に神経を注いでるような……。
「あ、おかえり。」
飯を食べてからテレビの前のソファでくつろいでいると四阿サンが帰ってきた。長身でぼ〜っとした目、白い手袋はいつも通りだけど、メガネを取っているから戦闘の後かもしれない。でもやっぱり棒付キャンディをくわえている。
今はそれより美作サンからの返信が気になる。
「飯は?」
「冷蔵庫に用意してある。ちょっと待ってて。」
「ん〜。」
さて、マナーモード解除しないと。支度しててメール受信に気付かないなんて嫌だし。
「生雪は?」
「そこのソファと部屋の角の間で寝てる。」
「へぇ。趣味か?」
「狭いとこが好きなんじゃないかな。」
「ふぅん。」
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