読物

□退魔師列伝 魔刃朱殺 第一話
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視界を埋め尽くす程の紅。
紅い壁に囲まれた自分も紅く染まった気分だ。
「あぁ、またやっちまった。」
目の前に転がる骸は静脈、気管支、動脈が綺麗に横一文字に斬られている。そして、首に空いた隙間からは無限に血液が流れ出ている。
この骸を見てある者は『この上なく美しいモノ』と思い、そしてある者は『この上なく見苦しいモノ』と思うだろう。
俺はどうだろう。死体を見て美しいとは思わないけど、流れる血は綺麗かな。人を殺しといて何考えてんだろ、俺。
妙な事を考えていると背後から何か聞こえた。
「ぶぇっくしょん。」
いつの間に!ヤバイ、人に見られた。
瞬発的にに振り返る。そこに立っていたのは細くて白い棒を咥えた男が立っていた。
「あっ、やべ。」
少しもやばくなさそうに言う。
「おー。こりゃまた派手にやって。」
長身のその男の呆けた様な目は骸を見ながら虚空を見ているようだ。
なんだよ、コイツ。口封じの為に殺すしかないか…。
必然的な発想。けれど一番適確だった。
「誰だお前?」
「百鬼夜行。つっても分からないしょ?とりあえず寝とけ。」
緊張感のなくなる声。






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