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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第六話C
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かき氷を食べながら歩いている。
祭りの話しや学校の話し、それから夏休みの話し。他愛のない会話が妙に心地良い。
冬人たちといる時とはまた違った楽しさがある。
なんていうか、この感情は……。
「寥クン、寥クン。」
「はいはい。」
「金魚すくいやらない?」
「良いけど、うちは水槽ないから捕れたらもらってくれる?」
「…良いの?むしろ嬉しいんだけど。」
「そう?それは良かった。」
「ありがとう!」
「いいえ。おば…」
「お姉さん!二人分下さい!」
言葉の途中で美作サンに遮られた。
「あらやだ!嬉しいわぁ、この年でお姉さんだなんて!一人分おまけしちゃうわ!!」
……あぁ、なるほどね。
美作サンは自慢気にウインクしてきた。
お店の人も祭りを楽しみたいんだ。
道具を受け取り、金魚の様子を見る。
「…そういえばやるの初めてだ。」
全く捕れる想像が出来ない。
「え?そうなの?」
「うん。ちょっといま焦ってる。」
祭り自体数回しか行ったことないし。
「やるだけやってみるよ。」
「頑張って〜!」
心強い応援をもらって不思議とやる気が出る。
今なら、なんだって出来そうだ。
今一度、金魚の様子を見る。
「…………。」
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