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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第六話A
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大失敗をした。友達を傷つけるという最低の行為をした。
もちろん、わざとやった訳ではない。それでも俺がやったのは事実。俺がダメだったからこうなったんだ。
すごく後悔した。取り返しがつかないと思った。
だけど、終わったことばかり考えていたら何も変わらない。前に進めない。
だから謝った。
二度とこんなことにはならないと、その為に強くなると誓った。
誓って、それで許しを願った。
むしのいい話しなのは確かだけど、それしか思いつかなかった。
頭の悪さに嫌気がさした。
自分の能力の無さに絶望した。
だけど。
『いいよ。気にすんなよ。』
『次が無いなら、それで良い。』
許してくれた。
こんな俺を許してくれた。
ダメな俺を認めてくれた。
バカな俺を救ってくれた。
俺は、一生味方でいなければいけないと思った。
そうじゃなきゃ嘘だ。
そうじゃなきゃ友達じゃない。
「俺は、宝物を手に入れた。」
言葉にして実感した。
こんなに大事なものは他にあるだろうか。
まず見つからないだろうなぁ。
一人ごちてドアに手をかける。
「ただいま〜。」
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