読物

□退魔師列伝 魔刃朱殺 第五話G
1ページ/10ページ


裏路地にいるのは俺と劫と黒焦げの異形。異形の化け物は黒い形だけになり、全身から白煙を昇らせている。動く気配はまるで無い。
劫があれほど爆炎系の技をぶつけてもほとんど抑止出来なかったことからこの技がどれほどのものか理解出来る。
「やり過ぎ…じゃねぇか……?」
劫が崩れるように地面に膝をついた。
「劫!」
キマイラの横を抜けて劫のもとに駆け寄る。
「…心格反転。」
髪の色と右眼の色が反転して黒い髪と黒い瞳になった。
「えーっと、刹那?」
「おう。だいたいの状況は劫の中から見てたぜ。」
いきなり人が変わるってやっぱりついてけないよな。
「悪いな。今の技を使うと体力も霊力も持っていかれちまうんだ。だから俺が出てきた。」
「…なるほど。」
「劫のヤツ、技の制御に相当集中してたからな。当分出てこれないぜ。俺もここに来る前に使ってきたから戦えないけどな。」
「戦えないって…。その前にアイツは平気なのか?」
「いや、心配すんな。十中八九動けない。今から生死を確かめようぜ。」
これで生雪が死んでいたら…なんの為に…。それでも劫が全力で信頼に応えてくれたんだ。だから信じないと。
異形と化した生雪に近づく。
――ピクリ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ